福岡県・東峰村。自然と焼き物に囲まれたこの小さな村に、地元の人にも旅人にも愛され続ける“村中華”があります。
それが「中華11番」。
「えっ、あの“11番”が東峰村に⁉」──かつて福岡県志免町にあったこのお店を懐かしみ、わざわざ訪ねてくるファンも少なくありません。
来年で創業40年を迎えるこのお店の味と想いは、今も変わらず、村の中で静かに、でも確かに光り続けています。
中華11番の店主・梶原辰次(かじわらたつじ)さんは、福岡の中華の名店「一品香(いーぴんしゃん)」で修行後、同じく福岡の板付で先輩と立ち上げた中華料理店を経て独立。
飲食店がひしめく福岡の志免町で店を構える際、「補欠の番号やけど、コツコツ頑張る」という想いを込めてつけたのが「11番」でした。
その後30年間、志免町で愛された味を、10年前に東峰村へと移転。現在は「つづみの里」に併設され、村の人々の“いつものごはん”として親しまれています。
厨房で鍋を振るうのも、接客をするのも、すべて梶原さんひとり。
「安くて美味しい、腹いっぱいになってもらうのが一番!」
その言葉どおり、ボリュームたっぷりでどこか懐かしい味の数々が、毎日訪れるお客さんの心とお腹を満たしています。
訪れたらぜひ味わってほしいのが、「ちゃんぽん」。
こんもりと盛られた野菜、そしてまろやかでコクのあるスープ。間違いない味。ひと口食べればそのやさしさに驚きます。
「スープはしつこくならんようにしとるとよ。いっぱい食べて、元気になって帰ってほしいけんね」
野菜のシャキシャキ感、旨みが染み込んだスープ、そして麺のもちもち食感。最後の一口まで飽きることなく、心から満たされる一杯です。
ちゃんぽんと並ぶ人気メニューが「酢豚」。
外はカリッと、中はジューシーに揚げた豚肉に、甘酸っぱいタレがとろりと絡む一皿。シンプルながら、深みのある味わいにごはんが止まりません。
「飾らんで、素直な味が一番やと思っとるけん」
この言葉のとおり、奇をてらわない“まっすぐな味”が、訪れる人の心をつかんで離しません。
中華11番には、SNS映えするような装飾や派手さはありません。
けれど、そこには日々の暮らしに寄り添う料理と、店主・梶原さんのまっすぐな想いがあります。
「ここが、誰かの“いつもの場所”であれたらいい」
そう話す梶原さんの笑顔が、料理とともにこの村の風景に溶け込んでいました。
次に東峰村を訪れたときには、ぜひ立ち寄ってみてください。
きっと、心もお腹もぽかぽかになりますよ。