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「用の美」を体感。小石原焼伝統産業会館で工芸品を堪能

小石原焼・高取焼

東峰村と聞いて小石原焼を思い浮かべる人も多いだろう。 土の素朴な風合いと実用性に長けたシンプルなデザインが魅力的な焼き物だ。 実は、伝統的工芸品に陶磁器が指定されたのは小石原焼が初めてだったとか。 そんな、小石原焼の歴史や特徴を学べる小石原焼伝統産業会館を訪れてみた。

小石原焼とは

生産地である東峰村小石原地区は標高1,000m級の山々に囲まれ、樹齢200年~600年といわれる杉の巨木群「行者杉」がある生命力みなぎる地域だ。また、原料となる赤土に恵まれたことから、“用の美”を確立した小石原焼や “綺麗さび” と表現される高取焼が発展したという。

小石原焼の始まりは1682年、伊万里から招いた磁器づくりの陶工から中国風磁器の製造方法を学んだことから始まったと言われている。そしてその頃すでに小石原地区にあった高取焼との交流を通して小石原独特の焼き物が形成された。

小石原焼の大きな特徴は、「飛び鉋」や「刷毛目」、「指描き」と呼ばれる技法で、ロクロを回しながら鉋を使って土を削る技法や櫛や刷毛を使って模様をつける技法、指で模様を描く技法などが挙げられる。

民藝運動との関わり

大正最後の年1926年、思想家・柳宗悦により「民藝」という概念が広められた。それは、民衆の暮らしに厚く交わる工芸品の中にこそ驚くべき美の世界が広がっているというものである。
民藝運動が広がっていく中で柳宗悦やイギリス人の陶芸家・バーナード・リーチらが小石原村へ訪問し、小石原焼を称賛したことがきっかけで脚光を浴び、注目され始めた。
1958年(昭和33年)にはブリュッセルの万国博覧会で最高賞のグランプリを受賞し世界的にも有名になり、さらに1975年(昭和50年)には陶磁器としては初めて伝統的工芸品に指定された。現在、小石原地区には42の窯元があり、伝統を引き継ぎながら多彩な器を生み出し続けている。

陶芸体験もできる

ここ、小石原焼伝統産業会館では陶芸体験も楽しめる。ロクロ体験や絵付け体験、手びねり体験、そして飛びかんな体験とコースが豊富で幅広い世代に人気だ。

せっかくだからと飛びかんな体験を申し込み弾む気持ちで臨んだが、いざロクロを前にすると緊張で手が震える。
ロクロの回るスピードや鉋を持つ位置、腕を動かす速さ、力加減など様々な条件が調和して初めて美しい飛び鉋の模様が刻まれるという。さらに、呼吸がそのバランスに影響を与えるため、息もできない。よって、大きな作品を作るときには息が持たないそうだ。
職人たちが精魂込めて制作していることを身をもって体験することができた。
料金はコースや作品により異なり、いずれも事前予約が必須となっている。

陶芸体験コースと料金

ロクロ体験
電動ロクロを使って皿やカップを作る

所要時間:約40分
料金:一人2個焼成 3,520円

 

絵付け体験
湯呑や皿に好きな絵を描く

所要時間:15分~30分
料金:920円~2,640円

 

手びねり体験
陶芸用の粘土で好きな形を形成し作成

所要時間:40分~1時間
料金:一人500g 1,870円

 

飛びかんな体験
小石原焼伝統技法の飛びかんな体験
※1週間前までに要予約

所要時間:約10分
料金:2,500円

小石原地区最大の陶器市・民陶むら祭

小石原地区では5月と10月の年2回、「民陶むら祭」を開催している。地区内の窯元が一斉に窯開きを行い、小石原焼はもちろん高取焼も展示販売される大陶器市だ。通常よりもリーズナブルな価格で購入できるのも魅力の一つだが、様々な窯元の作品を鑑賞しながら散策できることが醍醐味となっている。

手作りの温もりを感じられる小石原焼。使い続けていくことで魅力が増していき、日常の尊さを気づかせてくれる。



小石原焼伝統産業会館
福岡県朝倉郡東峰村小石原730-9
TEL 0946-74-2266

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